NANKO NEXT BREAK TIMES

第2弾!「「2つの南港トップ会談」
【南港トップ会談】
アジア太平洋トレードセンター株式会社 代表取締役社長 秋本 穣
ハイアット・リージェンシー・オーサカ株式会社 取締役社長 谷口 俊司

前回の緊急インタビュー「秋本穣・大阪への提言」は大きな反響を呼んだ。南港再生の現場で、民間発想での改革を実行してきた4年間の経験からの提言に、説得力があったということだ。前回の提言は、大阪を変えていくと期待されている、平松新市長に直言したい!と言う願いで秋本氏は発言。それが非公式ではあるが先日実現したようだ。大阪南港の再生を託されてきた、アジア太平洋トレードセンター(ATC)の代表取締役社長・秋本穣氏再生の最前線の現場からの声、前号で掲載した「秋本穣・大阪への提言」~市長への公開質問状~が伝わったのかどうかを早速聞いた。更に今月号では、「秋本穣・大阪への提言」シリーズの第2弾として、南港を代表するもう一つの民間会社である、ハイアット・リージェンシー・オーサカの谷口社長との緊急対談を行い、再生現場の危機感と展望を語り合ってもらう。お2人に改革のヒントと問題点を聞いた。(南港新聞編集長安田正二)

─先ずは秋本社長!先月号の公開質問状、市長への提言が、タイムリーに平松新市長との直接対話というかたちで実現したようですね。

★ 現場の切実な声を聞く姿勢の新市長に期待!
秋本穣「南港ATCにお越しいただく機会に合わせて、短時間でしたが、平松新市長と1対1で話せたことは良かったと思います。南港新聞で問うた、私からの苦言提言を全て述べて、これまでの大阪市の無為無策の現状を忌憚なく伝えました。新市長が改革の先頭に立たなければ、この巨大な大阪は動かず沈没してしまう。是非、リーダーシップを取って大阪の再生と改革に取り組んでいただきたい!お役所で考えるのではなく、民間の知恵と実行力を使えば大阪再生改革の具体策はたくさんある!と直言し、具体案とともに訴えることができました。平松新市長には、大変興味をもって聞いていただきました。こう言った現場の生の声と苦言提言こそ、大阪再生をスタートさせる原点であり、是非継続して現場の声をこれからも聞いていきたいと最後に発言されました。これこそスタートのスタートです。平松新市長は大阪南港の現状を真剣に受け止めて、再生と改革を始めていける入口に立っていただいたという感触を得ました。新市長の再生へのリーダーシップに大いに期待します。」


─市民の声を聞いていくと常套句のように政治家も行政も言いますが、現場に足を運ぶこと、そして現場で直接意見を聞くという当たり前がなかなか実現しません。そういった意味では市長との対話の継続に期待したいですね。さて、ATCとともに大阪市民から見れば、もうひとつの南港の顔はハイアットです。おしゃれなハイアットのホテルがあるということは魅力であるはずですが、その経営者として谷口社長にお聞きしたい。南港はどうしたらいいでしょうか?

★ 大阪に局あって市なし!
谷口俊司「私共はハイアットという世界でも通用するブランドであり、オープン以来、大阪南港に相応しいブランドであり、南港の未来にかけての先行投資であれば、それは必要な一翼であるという使命感もあり、民間企業として頑張ってきました。そんな中で、南港の改革や整理、再生という動きがこのところ盛んに言われています。市民にとってプラスにして行く施策は、私達の南港の当事者の日々の課題の中にこそあります。市長が南港にやってきて現場から考えて行かれることこそ重要です。南港の再生のためであれば大阪の商人の知恵はいくらでも集る!と思います。しかし、ATCが頑張る、ハイアットが頑張るだけではこの街は何ともなりません。街としての施策や、南港コスモスクエアー地区全体として、市民が訪れたくなる姿が見えなくてはいけません。行政は街全体の姿やこれからの展望をどうして語らないのでしょう?秋本社長如何ですか?」

秋本穣「大阪に局あって市なしと言うことです。南港という街としての発想はありません。行政主導で誕生した街ですから、最後まで主導するのか、あるいは民間の発想に任せるのか?どちらでもいい。とにかく方針を明確にすべきです。民間は当然経営改革をして頑張ります。でも、直ぐに行政が設定した過去の規制にぶつかり、大改革は進みません。ここ南港では港湾局の都合と経済局の都合ばかりが見えてきます。」

★ 民間でできることはすぐやろう!(谷口)
★ それが街おこしの原点だ(秋本)
谷口俊司「インテックスとATCホールは南港の広域集客マシーンです。これが無ければ、ハイアットも成立しません。コンベンション文化都市発想こそは大阪にとって大変重要なこと。お役所が持て余すなら、早く言って欲しい、民間でやるべきです。WTCにもハイアットにも、南港にはホールやスペースが多々あり、南港中でコンベンションとイベント対応スペースが整っているのです。インフラが既にあるのに宝の持ち腐れです。個々でばらばらにやっているのが現状。私は批判などしている場合ではないと思います。民間でできることからすぐにやりましょう!共通の業務の統合、広報宣伝の統合などはすぐできるのですから。」

秋本穣「そうです、それが街おこし発想の原点です。私が街おこし発想が必要と言ったのは、具体的にはまず企業の枠をこえてできることはやるべし!更には街としても、局を越えてやるべし!この横軸発想が無ければ、南港の再生はないということです。それが官民共同の発想とならなければ駄目です。谷口さんが言うように、南港のポテンシャルの大きなものの1つはコンベンションですね。インテックスがあってホテルがあって会議やイベントができるスペースがいっぱいある。ステージは揃っている。民間連合が本気になれば、これも横軸発想でできると思います。」

谷口俊司「すぐやるべきです。ATCとハイアットでできることから始めましょう。」

★ 民間連合をこえたリーダー!市長にしかできない!
秋本穣「商業施設のリーシングもATCとWTCを1つと考えて1チームでやろうというアイデアもありました。この経済局と港湾局の共同作業は一時推進されましたが、実現しませんでした。民間でできることからやることは当たり前で、私はやって来ました。しかし民間企業だけでは限界があるのです。何が足りないのでしょう?」

谷口俊司「秋本さんおっしゃるように、街としてどうするのかという、民間連合をこえた、再生改革リーダーでしょうね。」

秋本穣「私共ATCも谷口さんのハイアットも、リストラ経営や社内改革はしてきたと思います。1企業の孤軍奮闘だけではこの南港は何ともなりません。せめて、この南港をどう再生するのか?大きな方針でのリーダーがいないと始まりません。それは、市長にしかできません。局あって市なしから、市あって局なしにできるのは、市長ただ一人です。」

谷口俊司「橋下府知事が現場を歩いているように、平松新市長にもこれからも継続してどんどん南港に来てもらいましょう!現場から再生の施策を提案していきましょう!」

秋本穣「そうです!平松新市長に南港を歩いてもらい市民の願いを含めた提案ができるような機会を2人で作っていきましょう!」

谷口俊司「是非、準備しましょう!」

【取材後記】ハイアット・リージェンシー・オーサカの26階にあるリージェンシー・クラブで2時間にわたっての会談を抜粋しました。南港再生のために民間でできることはすぐやろうという谷口社長。いやそれは勿論だが、街おこし作戦として充分やって来たしやっているが、これまでは暖簾に腕押し状態。誰も真剣に考えていない。大阪市民の貴重な財産を、過去の失敗を認めた上で、取り戻し、大阪南港から金の卵を孵していくことを考えていないのがこれまでの行政の姿だという秋本社長。共通の答えは、市長が超党派で局を越えて、市民のためになる南港再生をしよう!というリーダーシップを期待したいということ。これを進言して、改革実行を願う。大阪は日本一の商人の街でありながら、市のブレーンはいつも学者や有名人。ビジネスのプロはいつも現場におり、それを活用すべし。そういった民間の現場力が主導する、市長直轄の強力な南港再生局でも発足させない限り南港は撃沈する。以上、秋本提言と谷口社長の実践宣言とで、市長を継続的に南港にお呼びしていこうと結論した2人。動き始めた南港再生の行く末を、この南港新聞からも見届けていきたい。(本紙編集長安田正二)




Copyright (C) 2005 - 2025 NANKO NEXT BREAK TIMES. All Rights Reserved.